新型コロナウイルスは保険適用の対象か?

    March 2020

    米国(2020年3月19日)

    新型コロナウイルスにより何らかの損害を被った者が保険金を請求する際、ウイルス・バクテリア適用除外特約及び汚染適用除外特約という2つの代表的な適用除外特約を検討する必要があります。本記事では、当事務所の米国弁護士が、米国の裁判例をもとに、これらの適用除外特約について分析をしています。

    例えば、Amco Insurance Co. v. Swagat Group, LLC, No. 07-3330, 2010 U.S. Dist. LEXIS 4770 (C.D. Ill. Jan. 20, 2010) とWestport Insurance Corp. v. VN Hotel Group, LLC, 513 Fed. Appx. 927, 932 (11th Cir. 2013) は、ともにホテル客がレジオネラ症に感染したとされるホテルからの保金請求に関わる事件ですが、保険適用の範囲について以下の2つの点が争点となりました。

    Amco事件では、「バクテリア」の定義に着目し、科学的分類によってレジオネラ症の原因であるバクテリアも含まれると判断しました。新型コロナウイルスの場合、Amco事件の裁判所のようにバクテリアを狭く解釈した場合、新型コロナウイルスは科学分類的にはバクテリアでないため、保険の適用除外と判断されそうです。

    一方で、Westport事件では、感染した場所が問題となりました。バクテリアとウイルスの違いに加えて、保険適用の範囲内であるかの判断は、感染した場所もまた重要になると考えられます。

    また、別の例では、Koegler v. Liberty Mutual Insurance Co., 623 F. Supp. 2d 481, 484-85 (S.D.N.Y. 2009) は、バクテリアとウイルスを区別することなく、「transmission of communicable disease, virus, or syndrome」により生じるものは適用除外と特約されていましたが、裁判所は、この適用除外特約について、純粋な文言通りの解釈をすべきであるとしました。この適用除外特約及び裁判所の解釈を前提とすれば、新型コロナウイルスは適用が除外される可能性が高いということになります。

    Connors v. Zurich American Insurance Co., 872 N.W.2d 109 (Wis. Ct. App. 2015) もレジオネラ症に関する事件でした。Connors事件は、標準的な汚染適用除外特約が争われた事件ですが、空気中を漂う微小な水滴に含まれたバクテリアというのは汚染に該当すると判断しました。なお、新型コロナウイルスも空気中を漂う微小な水滴を通じて感染拡大し得ます。

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