定期傭船契約及び航海傭船契約

    April 2020

    グローバル(2020年4月15日)

    本記事では、新型コロナウイルスにより定期傭船契約及び航海傭船契約に発生し得る問題を検討します。傭船契約の取引条件は、船舶の種類と貿易によって異なり、定期傭船契約と航海傭船契約では異なる事項が考慮されるべき場合があります。その結果、本記事の内容は本質的に一般的なものであり、各傭船契約の条件をそれぞれ考慮する必要があります。それでもいくつかの共通な問題が発生する可能性が高く、傭船契約に共通に盛り込まれる多くの規定中に、以下の様な重なる問題点が存在するため、それらについて検討します。

    • 堪航性(Seaworthiness)-新型コロナウイルスの影響を受けた港に船舶が寄港した場合、または乗組員が新型コロナウイルスに感染若しくは感染した疑いがある場合に、堪航性の問題が起きる可能性が極めて高くなります。
      乗組員が感染した場合には、船が航行不能になる可能性があることは明らかです。これはまた、船舶を非稼働状態にする(Off-hire)、または荷役準備完了通知(Notice of readiness)の有効性を争う場合の有効な根拠になる場合があります。
      病気と汚染の関連では、取引履歴によると以前停舶した港が疫病で汚染されていたため、船舶を燻蒸消毒のために引き留めることとなり、当該船舶には堪航性がないと判断された前例があります。
    • 安全港保証(Safe port warranty)- 英国で裁判所等が適用する港が安全かどうかを見極める基準は、船舶が危険に「さらされて」いれば十分であり、従って原則として、港が新型コロナウイルスに汚染された場合には、当該港は安全ではないと看做される可能性があるものの、実際には多くの要素を考慮する必要があります。例えば、検疫による比較的短い遅延又は燻蒸消毒等は、それのみでは、港を危険にさらすとは考えにくいといえます。

    傭船者は、航海傭船契約を締結したり、定期傭船契約に基づき指示をする場合は、計画している積荷又は荷揚げをする港が新型コロナウイルスの影響を受けているか、もしくはその可能性があるかどうかを調査し、航海中に、荷揚げをする予定だった港が安全ではなくなった場合の緊急時対応計画を予め立てておく必要があります。

    上記の内容以外にも、本記事では以下の点も検討しておりますので、詳細については本文をご覧ください。

    • 雇用の指示(Orders for employment)/ 黙示的及び明示的な補償(Implied and expressed indemnities)
    • 感染症又は伝染病の条項(Infectious or contagious diseases clauses)
    • 傭船期間の中断(Off-hire)/ 傭船料の減額(Deductions from hire)
    • 荷役準備完了通知(Notices of readiness)
    • 停泊期間及び超過保管料(Laytime and demurrage)
    • 滞船に対する損害賠償金(Damages for detention)
    • 補償状(Letters of indemnity)
    • 不可抗力(Force majeure)
    • 履行不能(Frustration)

    A Time and Voyage Charter Perspective