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新型コロナウイルスに関する米国訴訟を巡る問題

March 2020
地域: 米州
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米国(2020年3月)

新型コロナウイルスの影響により、世界各国の企業の活動に重大な支障が生じてきています。これに伴い、新型コロナウイルス問題に関連して、海外の企業が米国裁判所において訴えられるリスクが高まってきています。例えば、契約上の義務の不履行又は履行遅滞、取引先の一方的な変更、品不足による約定していない原材料への一方的な変更、労働健康衛生環境の確保の懈怠、労働者の健康状態等の個人情報の開示の問題に端を発して米国裁判所において訴訟提起されることが考えられます。

新型コロナウイルス問題は、不可抗力に該当し得る事態を引き起こすと考えられます。いわゆるforce majeure条項(不可抗力条項)は、(1) 如何なる出来事が発生すれば契約上の義務が免責されるのか、(2) 契約上の義務がどの範囲まで免責されるのか、(3) 相手方当事者に対してどのような通知が必要となるのかという要素から構成されるのが通常です。不可抗力条項に、免責対象の出来事としてepidemic(感染症の流行)が盛り込まれることは通常とまでは言えませんが、他方で「other acts of God」や「other events beyond the parties’ control」のような文言で包括的に網にかけるよう定められていることはよくあります。

米国裁判所に人的裁判管轄(personal jurisdiction)が認められるには、当事者と裁判地との間に「最小限度の接触」が存在しなければなりません。しかしながら、企業はオンラインによる活動を展開しており、例えば、米国国内において、オンラインでビジネスを行ったり、広告を出したりしており、海外企業が「最小限度の接触」は無かったと主張するのが困難になってきております。一方で、この点に関し、近年米国最高裁判所により「最小限度の接触」の要件を狭く解釈する判例が次々と出されており、海外企業には「最小限の接触がない」として、裁判所の管轄権を争うことも有効な手段と考えられます。詳しくは本記事をご参照ください。

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